・リドルストーリー 〜結末なき物語〜
その2:F・R・ストックトン『三日月刀の促進士』


若者が問題の裁判にかけられてから1年ほどたって、遠い国から使者がやって来た。
使者がいうには、「私どもの国の人間が一人、あの裁判を見物していたのですが、途中で恐ろしくなって一目散に国へ逃げ帰ってきてしまい、その後どうなったか、さっぱり分かりません。ぜひ、結末を教えていただきたいと思って、やってきました」

この使者を対応した役人がしゃれた男で、こう返事した。
「分かりました。しかしその結末をお話する前に、あの裁判からしばらくしておこったもう一つのエピソードを聞いていただかなければなりません」

そのエピソードとは――
ある国の王子が、その野蛮な王様に、宮廷にいる侍女の誰か一人を花嫁に下さい、と申し出た。王様は承諾して、王子に目隠ししたうえで、侍女を進呈し、即席の結婚式をあげた。そしてそのあとで、花嫁を別の四十人の侍女と一緒にしてから、王子の目隠しを取り、さああなたの花嫁を連れ出しなさい、ただし間違って他の女を連れ出そうとしたら、すぐさま処刑しますよ、といった。

四十人の侍女はみんな同じような衣装をつけていて、身動きをしてはいけないと王様に厳命されているので、王子にはどれがさっきの花嫁か区別がつかない。王様は、今から十数えるうちに連れ出しなさい、とせかす。すると、二人の侍女の表情に変化が現れた。一人はそっと微笑み、一人はかすかに眉を寄せた。さあ、王子は迷った。
女というのはこういう場合、私があなたの花嫁よと微笑して教えるものか、それとも、さっき式をあげたばかりなのに自分が見分けられないの、と眉を寄せるものか…。

接待役の役人は、遠い国からやってきた使者に、
「この王子がどちらの侍女を選んだかを当てられたら、さっきの女か虎かの結末を教えましょう」
と答えたのである。


つまり、続編がまたナゾナゾになっているというわけ。ずいぶん人を食った話です。
さて、この「女か虎か?」の女心の謎解きはその後もずっと尾を引いて、
いろいろな作者が解決編に取り組んで、さまざまな答案を作成して見せたました。
なかでも意表をつく解答編は、同じアメリカの作家ジャック・モフェットの「女と虎と」。
彼がどんな解答を出したのかは、下記の通り。

「女か虎か?」の好解答+NEXTpage (左記で3に飛ばない場合


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