--ヘルマン・ヘッセ名言集--
Hermann Hesse (ヘルマン・ヘッセ)ドイツの作家。南西ドイツの静かな田舎町に生まれた。その85年の悩み多き生涯の中で、おびただしい数の作品を残したが、一貫して「内面への道」を追求しつづけた。作品として『シッダールタ』『車輪の下』『デミアン』『荒野の狼』『ナルチスとゴルトムント』など。時代や名前は違ってもそこには常に「一人の主人公」しかいない。人生の中で出会う人物・出来事、それを通して、いかなる変化が生じたか。「いかにして私自身に到達することができたか、いかにしてより深い自己を発見しうるか。」こうした問いに取り組みつづけた魂の記録として、時代を超えて、静かに読みつがれる作家である(1877-1962)


・過ちも失敗も多かった。だが…後悔する余地はない。

 

・私が人生を諦めて、自分一個の幸不幸などはどうでもよいと悟って以来、
少なくとも人生は、私にやさしくしてくれるようになった。
―「ゲルトルート」―

 

・僕は、僕の内部からひとりでに出てこようとするものだけを、生きてみようとしたにすぎない。
それがなぜ、あれほど難しかったのだろうか。
―「デミアン」―

 

・大部分の人たちが行く道は楽だが、僕たちの道は苦しい。――でも、行こうじゃないか。
―「デミアン」―

 

「失礼ですが、その恋はあなたがたを幸福にしてくれているのでしょうか?みじめにしているのでしょうか?それともその両方でしょうか?」
「あら、恋は私たちを幸福にするためにあるのではありませんわ。恋というものは、私たちが苦悩と忍耐の中でどれほど強くありうるか、ということを自分に教えてくれるためにあるものではないでしょうか」
―「郷愁」―

 

・彼は、恋をすることによって同時に自分自身を見いだしたのであった。
しかし、大抵の人々は、恋をすることで自分自身を失ってしまうのである。
―「デミアン」―

 

・我々は人間についてあまりにも知らない。絶望的に知らなすぎる。
学校では何百というばかばかしい戦闘の年号やこっけいな国王たちの名前を覚え、
新聞では税金やらバルカン半島やらについての論説を毎日読んでいながら、人間のことは、何も知らない。
―「クラインとワーグナー」―

 

・僕たちは喋りすぎる。賢そうな議論をいくらしたって何の値打ちもない。まったく無価値だ。自分自身から離れるばかりだ。
自分自身から離れるのは、罪だ。僕たちは、亀のように自分自身の中にすっぽりもぐりこむことができなくてはならない。
―「デミアン」―

 

・世の中に実に美しいものが沢山あることを思うと自分は死ねなかった。
だから君も死ぬには美しすぎるものが、 人生には多々あることを発見するようにしなさい。

 

・先生やパパやどこやらの神様に気に入られるだろうかなどいうことは、問題にしないことだ。
そういうことを気にしたら、我が身の破滅を招くだけのことである。
―「デミアン」―

 

・忘れてはいけない。偉大な人間になって、なにか立派なことを創造しようと思ったら、
多くのことを断念することができなくてはならないということを。

 

 

・名声などというものに、いったい何の価値があるだろうか。
本当に内容も価値もある人間たちが、みな有名になって後世に知られているとでも、あなたは思っているのだろうか。
―「荒野の狼」―

 

・戦争ならアリでもする。国家ならミツバチでも持っている。財産ならネズミでも集める。
君の魂が求めるのは、別の道だ。そして、君の魂が損なわれるとき、君が魂を犠牲にして成功を得るとき、
君にはいかなる幸福も花咲かない。というのは「幸福」を感じることができるのは、
胃袋でもなく、頭脳でもなく、財布でもなく、魂だけであるからだ。
―「魂について」―

 

・愛は、哀願して得ることも、金で買うことも、贈り物としてもらうことも、路上で拾うこともできます。
けれど、奪い取ることだけはできないのです。
―「シッダールタ」―

 

・不安に打ち勝った者は、もはやこの世に生きるのではなく、神の中に、永遠の中に生きているのだ。
―「クラインとワーグナー」―

 

・信仰と懐疑とは互いに相応ずる。それは互いに補(おぎな)い合う。懐疑のないところに真の信仰はない。
―「クリストフ・シュレンプフの追悼」―

 

・救いの道は右にも左にも通じていない。それは自分自身の心に通じる道である。
そこにのみ神があり、そこにのみ平和がある。
―「放浪」―

 

 理解されないなんて、いつまで繰り返していても同じことですよ。だれそれが自分をあまりよく理解してくれないだの、あまり正当に評価してくれないだの、いつもそんな事ばかり考えていてはいけません!あなたの方からまず相手の人たちを理解し、喜ばせ、正当に評価するように試みなくてはなりません!――いいですか、自分にこう言って聞かせるんです。どっちみち人生は自分には楽しくないんだ、だとすれば、どうしてこのやりかたでやってみてはいけないのか、ってね。あなたは自分の人生に対する愛着をなくしてしまった。それなら自分の人生なんか後生大事にしておかないで、すすんで重荷を背負いこみ、ちっぽけな安楽などあきらめておしまいなさい!
―「ゲルトルート」―

 

・愛されるというのは幸福ではない。でも、愛すること、これは幸福です!
―「クラインとワーグナー」―

 

・殺すのは何も現在あるものばかりとは限らず、未来のものを殺すこともありうる。
……いたることろで生命が待っており、いたるところに未来が花を咲かせている。
なのに我々はいつもそれをほとんど見もしないで、その多くを絶えず足で踏みにじっている。
我々は、いたるところでつねに殺人を犯しているのである。

 

・人生は一頭の馬である。軽快なたくましい馬である。
人間はそれを騎手のように大胆に、しかも慎重に取り扱わなければならない。
―「大理石材工場」―

 

・我々がある人間を憎む場合、我々はただ彼の姿を借りて、我々の内部にある何者かを憎んでいるのである。
自分自身の中にないものなんか、我々を興奮させはしないものだ。
―「デミアン」―

(20-06/10/30)



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