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読者の「女か虎か?」考

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王女は若者に美女の居る方の扉を合図で教えた。若者が生きていれば幾等でもやり直せると前向きに考えたからだ。しかし若者は王女が考えていることとは裏腹に反対側の扉を開いた。勿論待ち構えているのは猛獣、虎である。若者はその虎と戦い、そして勝利。勝負に勝つと直ぐ若者はその虎に跨り、王様の目の前まで来て云った。「王様、貴方が何と云おうと王女は頂きます。」王様は満面の笑みで答えた。「私の負けだよ、完敗だ。娘を守ってやってくれ。」こうして、若者と王女はずっと幸せに暮らしていった。=Fin=

 

私の中の結末は「王女はトラの方をさした。けど男は王女が指したほうこそ女だと思って反対側を選び助かってしまった」ですかね。
王女の心境は「娘に取られるくらいなら、自分の手で殺してやろう」と思ったと思います。王女の手には彼の運命が握られている訳ですから。
しかし、男は「王女は自分を助けようとしてくれるに違いない。つまり指している方は女だ。女と結婚して王女を忘れないといけないくらいなら、虎に食われて死んでしまおう」と思った。
双方の見解は見事に外れ、二人とも願いは叶わずに喜劇として終わってしまう。ってのが思い浮かびました。
でも、王女の立場になってみれば喜劇どころじゃないでしょうね。
男は「王女に裏切られた」と思って美人の女に乗り換えた。王女はそれを黙って見る事しかできない。自分で殺そうとしたんですから当然の話でしょうが。

 

女王が指差したのは虎であり、若者はその事実に気付く。
しかし若者は一向にどちらのドアも開けないでじっと待っている。
それから何時間過ぎたか、王様の怒りも頂点に…。
王様は若者に時間切れと言う事で、若者を処刑するための兵士を数人送るが、その瞬間、若者は虎の扉を開ける。
若者は扉の影に隠る。扉を開けられた虎の目に入って来たのは数人の兵士達、虎はその兵士達に向かって突進してくる。
突進してきた虎から兵士達は逃げ様とするが、安全地帯まで逃げることは難しかった。
覚悟を決めた数人の兵士が仕方なく虎を退治してしまったのだ。

しかし、このあと事態は思わぬ展開に!?
会場は大歓声で、なにがどうなっているのかわからないくらいの大パニックになり、その間に若者はいつのまにか姿を消しその後、美女と結ばれたのは虎に止めを刺した兵士であった。
めでたしめでたし・・・。

 

王は若者がどちらを選んでも楽しめるようにこの舞台を整えた。
人生は戦いであり二人が戦うべきは理不尽な選択肢を押しつける王であり、人命を弄ぶショーを見て喜ぶ観客であり、そして彼らの形をした運命そのものである。ゆえに若い二人がどちらかの扉を選ぶこと自体が既に運命に流された勇気無き行為であり、王女は自分の恋人にそんな行動をとって貰いたくはないだろう。そして自分もまた。

王女の指は一つの扉をまっすぐにさしていた。若者の後ろ、彼が放り込まれてきた入り口の扉だ。数万の観客と王の視線がそこに集中した瞬間、飛来した一弾が王の頭蓋を粉砕し、王冠を赤く染める。ヤツだ。王女が雇ったヒットマンの襲撃だ。一拍遅れて銃声と悲鳴が響き渡り、場内は騒然となった。”AH!no!Nooooo!!”悲嘆に暮れて王の遺体に取りすがる王女。殺到する衛兵達。観客達は若者がいつのまにか舞台から姿を消していることなど気付きもしなかった。彼らは王の暗殺劇というもっと素敵なショーを楽しむのに夢中になっていたのだ。
この世が劇場ならばより優れたエンターテイナーこそが脚本を書き、場を操り、意外性を演出する。今回の騒動はただ、王よりもその娘の方が「役者が上」だったというだけのことである。

暴虐な問いには答える必要はない。ただ問いそのものを無力化し、問うた者に制裁を加えることこそ唯一の誇り高い答えである。

 

私なら、ここで、太宰治の「走れメロス」のような展開にします。

 

若者を深く崇拝していた王女は”美女の扉”を教えました。
若者は王女が自分にぞっこんなのを理解していたので言われた通りの扉を開けると高慢そうな女がにっこり笑って歩み寄りキスをしました。場内は歓声が沸き起こり王女の心はさらに若者への愛で満ちました。
そうです王女は精神的なマゾヒストなのでした。
王女はその後王の決めた他国の成り金王子と結婚しましたがセックスの際にはいつも若者の名前を呼んでいたそうな。

 

 そして 時は来た。 ・・・残酷なまでに静かに。そして若者はただ佇んでいた。
人は死期を目の前にして、何を思うのだろうか?
 踏み鳴らされる群集の足踏み その次第に速さを増すリズムは戦を告げる太鼓の音のように人々の心を興奮させ さらに大きな興奮、絶叫、わめき、へと導き、まるで闘技場全体が一つの生き物へと変化していくかのようであった。
 おどける道化師、鳴らされる騒々しい音楽の中で、静かに若者は“その扉”を選んだ。
人々の視線が止まり、音楽が止み、突然の静寂が水面に広がる波紋のように闘技場に広がる中で重々しい扉が開かれた。
 中から出てきたものは、そう人々の望んだ「何か」だった。猛り走りよるその速さは人間のモノではなく美しいまでに残忍な刃をその口に輝かせ、またたく瞬間に若者へと覆いかぶさっていくのであった。人々の口から湧き上がる叫び、強烈な感情の噴火が地面を揺らし、若者の命は人々の視界から消えていったのだった。
 ・・・しかし、踏み鳴らされる足音の中で、一人呆然と立ち尽くす王女の目の前には数瞬前の若者の顔があった。そう、彼は確かに彼女を見た。死が自分へと迫るその瞬間に。
初めて出会った日のような軽やかな微笑を浮かべて。
 そして時は来た。無垢なるものよ、大地に立て。おお、それを希望と呼び勇気と呼び愛と呼ぶのなら。ただその心にある純粋さの中で蝕まれる事のない明日を信じるのだ。その願いはやがて矢となり槍となってあの人の心を刺すのだから。

 

パターン1:
王女の指の動きは、右の扉を指してました。しかし若者は王女の指した右の扉とは逆の左の扉を開きました。中から出てきたのは、美しい娘でした。自分に殺意を抱いてた王女を知った若者と自分を信用してくれなかった王女の間は冷め切ってしまいました。

パターン2:
若者は王女の指の動きが示す方向の扉を開きました。中から出てきたのは、凶暴な虎でした。王女は驚きました、手にした秘密は全くの嘘だったのです。王女はせめて命を救おうとした気持ちだけでも伝えようと若者を襲う虎を止めに掛かりました。王様は驚き、その虎を銃殺しましたが、王女は命を落としてしまいました。涙ながらに王女の骨を拾い上げる若者を王様は責めることが出来ませんでした。

 

二人は盲目的に愛し合い、王女に出来るのは一瞬扉を指差すことだけ

王女が指差すのは美女の扉、どんなに口惜しくても愛した男が死ぬのを見たくはないでしょう。
そして男が開くのは、虎の扉男は王女を愛しすぎているため、美女の扉のことなど考えてもいません
王女は虎の扉がどちらかを教えてくれていると思うでしょう
あわれ男は食い殺されてしまいました

 

男は、王女が指で示した扉を躊躇いもなく開けた。
そこには、最も美しいとされる女が立っていた。

女が立っていることすなわち、許しであるなら、自分の罪は罪ではなくなる。

罪を許された男は女を娶る事を拒んだ。

拒む事は罪なのだろうか?
罪なら再び男は闘技場へ赴く事を余儀なくされるだろう。

そのたびに王女が指で指し示し続けるとどうなるんだろうか?

 

王女はきっと何もいいませんでした。若者にすべてを託したのです。
人は大きな決断をする時、真の答えを欲するならば、自分自身の力で道を切り開かねばなりません。
若者がどうなったか?・・・決まっているでしょう?

 

2人の関係が真実の愛であれば、王女は真実を伝えるが、若者は王女以外の娘と結ばれることをよしとせずあえて虎の扉に向かう。王様にとっては悪い虫が始末できるからめでたし、めでたし。

互いに信じあえていなければ、王女は虚偽を伝え若者は王女の手の動きを信じず逆の扉・・・娘の方へ。それは王様にとっては男を罰する必要もなくなるからめでたし、めでたし。

例え片方が相手を信じていても、どちらかが相手を裏切れば恋or若者の一生は終わる。王様にとってはめでたし、めでたし。

 

私なら、「王女は若者に娘が隠れる扉を教え、二人を結婚させた。王女はとてつもない嫉妬心を覚えその嫉妬心で若者を自ら殺した。」と締めます。

 

私は、虎の扉です・・・・・結末は、
=理由=
王女が娘の扉を教えれば若者は、助かり娘と結婚しますがソレを見ている王女は幸せとは思えません。
なので虎の扉を教えます、虎の扉を教えて若者を殺し後から自分も死ぬ(ロミオとジュリエットのように)事も出来るからです。
しかしこれでは終わりません、
扉から出てきた虎に若者は襲われます、千切れる手足飛び散る内臓これを見た王女は100年の恋も冷めてしまい骨だけになる頃には、一人の観客になっているでしょう・・・・・・

 

若者がドアを開けると、そこには天女のような娘が立っていた。若者と娘は抱き合い、公衆の面前にもかかわらず熱いキスを交わしている。それを見た王女はさっきまで優しさをまとった母親から憎悪と殺意が王女の心を支配し始め、王様は少し苦い顔をしながらも目は潤み口元は震えていた。若者と娘が王女に微笑みかけた瞬間、王女はこの世のものとは思えない笑い声をあげながら走り出し、もうひとつのドアを開けたのだ。 獰猛なトラは目の前に居る王女には襲い掛からず、その後ろに居る二人を引き千切り食い破った。王様は、イスから床に倒れ失神し、王女は二人の死骸を見て絶叫し気を失った。トラは兵によって殺されたが、王様と王女は心臓発作で帰らぬものとなった。 その後、闘技場は4人の墓とされたが、誰一人としてちかずくものはいなかったと言う。

 

まず、この状況で味方になりうるのはどれか、すなわち王女・民衆・扉の奥の部屋の三つでしょう。そして前提として「王女を信頼する」ことが必要です。さあ、状況と裁判のルールを把握したうえで本題にはいります。王女の手の動きによって扉を選びます。勿論、娘の方の扉だと信じて。そして、娘のほうの扉を開けます。この瞬間、若者の罪は許されます。そして、娘を連れ出します。この瞬間若者は大音声で叫びます。「我、二人を娶らず」とでも。娘を観客席にほうりこみます。次に、虎の方の扉をあけ、虎を出させて自分は娘の扉の奥の部屋に逃げます。つまり、ろう城するんです。人は飲まず食わずでもつのは4、5日くらいです。ここからが、勝ちそうにないばくちです。民衆は彼を間違いなく褒め称えるでしょう。それを、王女が、必死に煽ります。国家機密といってよいほどの扉の秘密を手に入れることができたほどの謀略の持ち主です、可能なはずです。しかし、その民衆の声が4日以内に城下に満ちるかは、わかりません。ばくちです。声が、満ちたとして、王は困ります。若者を助けるべきか、否か。助けることは、すなわち民の人気を得るでしょう、かつ王女と若者の結婚を認めることになります。助けないことは、すなわち民の人気を失うでしょう、かつ若者は死に前代未聞の不祥事はまぬがれます。私は、前者を王が選ぶことを期待します。めでたく、若者は解放され王女とどこかの遠い地方で末永く暮らしましたとさ。

ーーーおわりーーー

 

王女はほんの一瞬小さく一方を指差した。男は一瞬ではあるが冷静に考えた。 「果たしてあれほど愛し合った王女が、ましてやあれほど気性の強い王女が別の女性と結ばれることを許してはくれるのだろうか?王とてそのまま私を許してはくれるのか?」 王女の胸中がわからぬ男は疑問に押しつぶされる。自分の命をかけられた男の思うことはただ一つ。 「こんな卑しい身分の私を愛してくれた王女を信じたい。」 しかし王女が指差した方に虎がいない事がなぜ自分にわかるのか?その答えこそ誰一人知ることはできない。男は決断し扉を開ける、王女の指差した扉を。それから少しの時間が経ち、ある国の王子にこんな話が届く。 「ある国の王はなんでも面白い裁判を行うという。自らが選りすぐったそれは美しい侍女を裁判に出すという。しかしその裁判によって王は姫を失ったもという。何でも卑しき身分の男を愛したがゆえにその後を追ったという。」 王子は考えた。 「そんなにも美しい侍女達がいるのならば行くほかにないであろう。事の真相を知るにもよい機会だ」

 

王女は、若者に片方の扉に行くように合図をした。 若者は、ためらわずその扉に向かう。 出てきたのは、虎。 しかし。 突然、王女は観客席から闘技場におりたち、虎の扉の前にいる、若者と運命を共にする事を選んだ……

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まぁ、一種の心中でしょうか。 血の激しさは争えない、というわけです。 もちろん、王様が王女の一途な気持ちを知り、虎を退治するよう部下に命ずるかもしれない事まで、計算したわけですが。 もし、死ぬとしても、二人の美しい(?)愛はずっと語りつげられる訳です。 どっちに転んでも、良いわけですね。最悪なのは、虎を見た瞬間、若者が、王女を盾にしたばあいです。 その場合、気性の激しい王女は自らの手で若者を殺しかねないでしょう。 愛と憎しみは裏表です。
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虎。

女としては当然ですねー。女は嫉妬深い生き物。愛する人には幸せになってほしいから、なんて思いませーん。他の女に取られるくらいなら、虎に食わせることでしょう。その女が自分より美人なら、尚更。また、そんな時代なら、虎が食い残した彼の肉を自分も…なんてことも有り得たんじゃないかな。

あ、これはあくまでも、「王女がしそうな」ことであって、私自身は上記のような、おっかないことは思いませんよ。いやほんとほんと。

 

彼女は虎に引き裂かれる若者を見て笑っていた。

 

王女は若者の命を助けようとして、女の方の扉を合図した。しかし若者は、王女との愛をつらぬいて、自ら虎の扉を選んだ。


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